ものづくりが繋ぐ縁 -後編-
株式会社カワタテック
皆さんこんにちは。採用担当のMです🚀
今回は前編で予告しました通り、UTATについて紹介します。
本記事の作成にはUTAT代表の村上様にご協力いただきました。
年の瀬のお忙しい中、取材を受けてくださいまして本当にありがとうございます!
目次
- UTATって?
- CanSatって?
- CanSatの進化
- 開発の苦労・魅力
- これから
UTATって?
“University of Tokyo Aerospace Technology” の略称で、工学的な視座・技術力の獲得を目指すとともに、ものづくりを通して得られる楽しさ・面白さを共有する場を目指し、CanSatの開発並びにハイブリッドロケットの製作を行う、東京大学の学生団体です。
CanSatって?
CanSat(カンサット、缶サット)とは「小型模擬人工衛星」のことで、空き缶(Can)に入るくらいの大きさの人工衛星(Satellite)が名前の由来です。
このCanSatをドローンを用いて空中へ飛ばし、パラシュートで着陸させた後にCanSatに様々なミッションをさせることで、宇宙に行けるほどのエネルギーを使わずとも、衛星開発の基礎を学べます。
UTATはこのCanSatを用いて達成したミッションの精度を競うため、各所で開催される宇宙イベントの大会などに参加しています。
大会には3種類の部門があり、UTATが出場しているのは「ランバック部門」です。この部門では、CanSatをドローンで空中へ運び、パラシュートで地面へ落下させた後、CanSatの自律走行のみでどれだけ地面のゴール(赤い三角コーン)に近づけるか、を競います。
UTATは2020年より大会への出場を始め、2022年のの能代で行われた大会では2位🥈の成績を残されています。
これらが、UTATが今までに製作されてきたCanSatです。
(村上様より画像提供)
今回は、村上様にCanSatの変遷やUTATの魅力について語っていただきます。
CanSatの進化
―UTATが発足以来、3台のCanSatを作られましたが、どのような構造の変化がありましたか?
2020年度の初代は文字通り手探りで、使える材料や機械も限られた状態からのスタートでした。アルミを手で削る所から始まって、カバーも後から手作業で無理矢理取り付けました。完成品はかなり簡素な物で、寸法などが実際の衛星開発ではありえないような適当さでした。
この反省を生かして、2代目は手作業よりも精度の高い3Dプリンタ製のパーツや既製品を利用し、構造の再現性を担保することを心がけました。
3代目はタイヤも弾力のある3Dプリンタで成形して着陸の衝撃を和らげるだけでなく、どの形が一番障害物を乗り越えやすいか実験しました。今年は予算や使える工具が増えたので、試作品を作ったり、パーツごとのテストがより細かく出来るようになったりしたので、開発の自由度が上がりました。
―見た目だけでなく、内部にも変化はありますか?
回路やモーターの載せ方はほとんど変わっていないですが、使用する電子部品と機体の制御の方法が変わりました。1、2代目は三角コーンとCanSatの座標の差、CanSatが向いている方向を計測してCanSatを動かしていたのですが、3代目は「赤い」三角コーンに向かって進む機能も付け加えました。
開発の苦労・魅力
―CanSatの制作で大変な事はありますか?
CanSatは、構造(モーター等のパーツを用いてCanSatの形を組む)→電装(個々の電子部品の動作試験と回路の設計)の開発→機械全体の制御(プログラミング)の順番に進めると作りやすいんですが、スケジュール通りにはいかないのが難しいです。制作途中で課題が出てきますし、特に構造に問題が生じるとその後の電装や制御にまで影響があります。
課題を修正した上でいざ全てを組み上げてみても意図した通りには動かないこともあるし、本番で動かしてみないとわからないことも多いです。
以前ですと、2020年度から2021年度は細かに実験する余力があまり無かったので、組み上げてから実験を行っていました。ですがそうすると修正したくても修正出来る点が限られていて、さらに時間がかかってしまう難しさを感じていました。2022年度に関しては試作と改良を短いスパンで繰り返せたので、より良いものを制作することができたと思っています。
―CanSatの開発で面白いと思うことはありますか?
ラジコンとは違って元々書いたプログラム通りに自律走行するのがCanSatの特徴であり、面白い所です。会場によっては窪みや草地があるので、それらをプログラムや画像処理を用いて上手く回避しながら、どうゴールを目指すのか、どんな形にすれば安定して走行が出来るのか、を考えることが面白いです。
―先ほど紹介したCanSatは村上様だけでなくUTATの他の方々も開発に関わっているわけですが、UTATの活動にはどのような魅力がありますか?
CanSatやロケットの開発は普通であれば、航空宇宙を専門とする人達を中心に行われることが多いのですが、UTATでは異なる専門のメンバー(電気、情報、天文、土木など)が集まり、活動できる点が魅力だと考えています。
―専門に特化することも勿論素晴らしいですが、他分野の知識が入るからこその新たな発見があるかもしれませんね。
これから
―今後の目標や、開発予定があれば教えてください。
直近の物だと、3月に伊豆大島でロケットの打ち上げ実験があるので、そこに参加するのが目標です。CanSatの開発では実績を積んできましたが、ロケットの開発は初めての試みで、高度な技術や高い開発費用が求められるので大変だと思います。4月以降はCanSatの開発を再開する予定です。
ロケットに関してだとロケットエンジンの設計・開発を自分たちで出来るようになりたいです。まずは比較的簡単なハイブリッドエンジンから始めて、ゆくゆくはより高度な液体ロケットのエンジンの開発もしてみたいです。
CanSatに関しては今までの結果を踏まえて改善、技術の向上を図ることが目標で、そのうち実際の衛星開発にも繋げていけたら凄く面白いだろうなと思います。
団体としては、人によって好みや経験が異なるので、CanSat・ロケットの両方作れる体制を整えたいのと、学部や学科に関わらず様々な人がCanSatの制作に携われるように、宇宙開発に興味のある学生が入りやすいような団体になることを目指しています。
普段は中々聞けないお話を伺うことができて、大変勉強になりました!
カワタテックはUTATの活動を応援しております。
当社の製品が宇宙開発に使われることもあると社内で聞いたので、もしかしたらこの先UTAT様にも使っていただける機会がある……かも!
🛰⭐🌟⭐🚀🌟⭐🌟🛰
(当記事内の情報は2023年1月5日付のものです)
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